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<臨床心理士>をめざす人へ



 私の中学時代からの夢は、弁護士になることでした。テレビ・ドラマの犯罪事件に取り組むかっこいい姿にひかれていたのでした。それで、大学は法学部をと考えていました。ところが3年生の受験雑誌で、九州大学教育学部に全国で唯一のカウンセリングの講座があるということを知り、強く魅力を感じました。それでどちらにするか非常に迷いましたが、「法律」を武器にするより「心」を武器にする方がよいのではと思い、最終的には教育学部を選びました。
 学部、大学院では、カウンセリング、臨床心理学をとても楽しく学びました。そしてその実践の機会を、精神科の病院、クリニック、大学の学生相談室、高校の教育相談室等で持つようになりました。1988年には心の専門家の資格である<臨床心理士>を取得しました。
 <臨床心理士>は、臨床心理学的知識と技術を用いて、人間の心の援助を行います。主な業務は、臨床心理アセスメント、臨床心理面接、臨床心理的地域援助、リサーチです。その職域は、教育、福祉、司法・矯正、医療・保健、産業、地域等、多岐にわたっています。トピック的には、スクールカウンセリング、エイズ・カウンセリング、犯罪被害者支援カウンセリング等が近年は注目されています。今後は、ターミナル・ケアー・カウンセリング、高齢者カウンセリング等の需要が出てくると思われます。
 ところで私はこの頃、<臨床心理士>は、「心の弁護士」であると考えるようになりました。というのは、人間の心が、悪・病気・不健康な部分によって苦しめられ押しつぶされそうになっている時に、善・健康な部分と手をつなぎ、支え、共に闘い、より伸びやかに生きられるように援助していくからです。最近は、「心の時代」と言われますし、この職業への若者の関心はとても高いようですが、人の心に自分の心で接する仕事ですので、単に知識・技術の専門性を身につけるだけでは足りません。自分の心を磨くこと、自分の人間性を豊かに育てることが大切です。絶えず自分の専門性と人間性を高めていくことが要求されます。
 最後に、自分の進路や人生の大きな選択にあたってのアドバイスを1つしたいと思います。人間の心には一人ずつ「心の羅針盤」があります。周囲からいろいろ言われることを参考にすることも大事ですが、くれぐれも自分の「心の羅針盤」を見ること、それを信頼することも大切にして下さい。
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